コロナ禍での選挙で、郵便による不在者投票も増えると注目されていますが、早くも混乱が見られています。
トランプ大統領はこれまで郵便投票が、不正につながる可能性があると繰り返し主張してきました。しかし、専門家はその認識は正しくないといいます。 カードーゾ法科大学院教授は「郵便投票で大規模な不正が行われた証拠は何もありません。何重ものチェック機能があり、不審な点があれば検出される仕組みです。」と語っています。共和党の政治家、オハイオ州務長官も郵便投票について「安心して郵便投票してください」と語っています 。
全米41の州で、郵便投票を行う場合、事前に申請が必要です。ノースカロライナ州をはじめ多くの州では、郵便投票を投函後に追跡することができ、問題があれば通知されるようになっています。しかし、その多くは、投票日の前に郵便投票を開封することを認めておらず、票の集計に時間を要することも懸念されています。
一方で、有権者の間では郵便投票への不信感が生じています。フロリダ州在住の女性は、8月の予備選挙の際、郵便による不在者投票を行いました。期日の3週間前に投函したにも関わらず、9月になって、住所不明で戻ってきたといいます。「自分の1票が集計されず怒りが収まりません」と語りました。 フロリダ州では、すでに12日、月曜日から、大統領選の郵便投票の集計が始まっています。14日水曜日、ペンシルベニア州では、印刷不備により、間違った投票用紙が2万8000通送付されたことが明らかになりました。その後、不備の原因は確認され、修正されたということです。
新型コロナウイルスの影響で安全に投票ができるよう、多くの選挙区で郵便投票をしやすくするなどのルールの改正が行われています。ある調査によるとその是非をめぐり、今月10日の段階で全米45の州などで279の訴訟が起こされているということです。こうした訴訟は郵便投票や改正されたルールに留まらず、投票所の何時まで開けておく必要があるかから、現場で行われる安全対策にまでに至ります。専門家は、選挙関連の訴訟の数は、史上最高になる可能性があるとしています。全てが異例づくめで、選挙結果が判明するのも時間がかかる可能性があるとされています。